このページではITに携わる人がまず初めにとった方が良いといわれている「ITパスポート」について書いていきたいと思います。なお私は職業訓練校に通い始めてから約2週間で合格した経験がありますので、私が行った勉強法と合わせて記事を書いていきます。
ITパスポートとは
ITパスポートは独立行政法人「情報処理推進機構」(IPA)が実施している「ITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験」です。
ざっくりいうと、「みんな社会に出たらパソコンやスマホといった情報機器を使うよね。だったら知っておいた方が良い知識を習得していることを証明しますよ」という試験です。IPAは独立行政法人であり、ある意味国が合格を承認しているともいえるので、国が設定したIT知識の基準をクリアしたともいえます。(※合格証書には経済産業大臣の署名が記載されます)
(リンク)ITパスポートの概要について-ITパスポート公式サイト
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/about.html
ITエンジニアを目指している人は取った方がいいの?
個人的な意見をいえば「取った方が良い」といえます。この試験はITに関する知識の入り口部分を網羅的に押さえている試験ですので、ITエンジニアはITパスポートは取れて当然、という資格だと思います。
よく「ITパスポートは簡単だから不要」「もっていても意味が無い」という話を聞くことがあると思います。それもある意味正しい意見だとは思うのですが、その【簡単とか意味がないといわれる資格すら持っていない】状態はどうなのかと個人的には思います。(その状態を覆すほどの実力や成果物があれば別ですが…)
また就活時の面接とかではこの資格自身が特段アピールできるものではないと思います。ただ「IT業界を目指したいと思ったので仕事をしながらプログラミングの勉強をしつつ、更に試験勉強を並行して行い一か月で合格しました」といったやる気や心意気の部分では十分アピール可能と思います。
このブログでは「未経験からITエンジニアを目指す人」をメイン読者さんとして想定しています。であれば、「まずIT業界を目指すための第一ステップとしてITパスポートを取ろう」と思っていただけたら嬉しいです。
ITパスポートの難易度について
合格率は概ね50%付近で推移をしています。この数字だけ見ると簡単そうに見えると思います。実際、IPAが主催する多くの情報資格試験の中でもエントリー(レベル1)の位置にある試験です。
ただ、実際に労せず合格できるかというと難しいと思います。「そんなことないだろ」と思う方は一度過去問を解いてみてください。よくわからない単語の羅列や計算問題もあり最初は「わからない…」となると思います。またITの試験なのにITの知識に加え、企業法務や経営戦略といった範囲の問題もありますので、注意してください。(※これらの範囲の問題が出るのも企業活動×ITの観点から必要であるものと考えられます)
舐めてかからないように気を引き締めて取り組んでくださいね。
ITパスポート対策のテキスト
ITパスポートの対策は「テキストを一度流し見してなんとなく覚える(3割くらい理解しているイメージ)」→「過去問をひたすら解く」→「分からなかったところはテキストで復習する」が定番かなと思います。特に一度で覚えることは難しいと思いますし、また生活であまりITの知識に関する部分に触れていない方はとっつきにくい内容と感じる方もいると思いますが、焦らずコツコツと進めていきましょう。
なおテキストについてはできる限り最新のものを購入するようにしてください。理由は試験が最新技術であるITを題材にしており、またIT技術の進歩がとても速いことから、試験範囲が年度の新しいものへ頻繁に更新されるからです。例えば安く済ませようと思って2年前のテキストを中古購入したときに、最新の試験範囲がカバーされていないことも普通にあり得るからです。
・参考テキスト① 令和06年 イメージ&クレバー方式でよくわかる かやのき先生のITパスポート教室
シンプルにまとまっていて読みやすいと個人的には思います。ただある程度ITに関して知識や理解がある人向けの内容かなとも思い、細かいところまで突っ込んで仕組みなどの説明が欲しい人には不足の感じもありますので、一度目を通してみて合いそうであれば手に取ってみてください。
・参考テキスト② キタミ式イラストIT塾 ITパスポート 令和06年 (情報処理技術者試験)
こちらはイラストを多く用いて仕組みについて解説されており、どのような概念や原理でそうなっているのかというところから理解するには良いのかなと思います。
個々人で読みやすい、読みにくいの感覚は違うと思いますので、人気や売上のある本だからと選ぶのではなく、一度本屋やAmazonのサンプル画像で内容を確認してから選ぶのが良いと思います。
ITパスポートの過去問について
・参考① ITパスポート過去問道場
多くの過去問が網羅されており、まずはこのサイトでひたすら過去問を解くのが良いかもしれません。ただ、過去問だけやっていれば受かるとも限らないので、問題慣れしつつ過去問の3割程度がそのまま本番で出ればラッキーくらいの気持ちで取り組みましょう。大事なことは問題を条件反射で解くことでなく、ちゃんと知識として定着されていることです。
ITパスポート過去問道場
https://www.itpassportsiken.com/ipkakomon.php
・参考② かんたん合格ITパスポート過去問題集
一問一答+解説方式で構成されており問題に対しての理解は進めていくには良いのかなと思います。私はこの問題集をテキストとしても使っていました。(※私のメイン教材となります)
私のITパスポート勉強法① -学習方法
ここでは私がITパスポートの合格のために行った勉強法を記載します。人によっては合う合わないがあると思いますが、参考までに読んでいただけると嬉しいです。
①かんたん合格ITパスポート過去問題集を買って、「問題見る→自分なりの答えをもってとりあえず回答してみる→解説文読んで正しい内容を覚える。」のスタイルで行いました。問題集は左ページに問題、右ページに解説の構成のため、問題集+テキストのような感覚で取り組みました。これを1日30問を目安に進めていました。
②日中は職業訓練校に通う生活であったので、休み時間や移動時間をとにかく活用しました。隙間時間で1問でも取り組めればOKの気持ちで進めたので、細かい実績の積み重ねができました。(この方法はやってよかったと思っています。)
③とにかく根拠をもって勉強を行いました。例えば下記のようなことです。
「問題を解くことは実戦慣れするための対策」
「模擬試験を早く解答することでスピード感をつける」
「単語を覚えるときに英語の意味を一緒に覚えることで、なんのことを指しているのかを紐づけする」
これらを意識しながら学習に取り組みました。
私のITパスポート勉強法② -勉強時間と具体的に行ったこと
1週目(勉強時間:650分)
1日の勉強時間は1~3時間程度とまちまちでした。家に帰ってからはあまり勉強したくなかったので、通学時間(片道30分×2回)と授業後の休み時間(10分間×4回)+食事休憩(20~30分程度)の隙間時間でとにかく問題を解きました。一問でも取り組めれば自分エライ!と思ってポジティブな気持ちとなるように取り組みました。
2週目前半(勉強時間:740分)
土日でそれぞれ4時間程度勉強し、週明けの勉強を終えるころに問題集が一周した頃でした。試験勉強はテキスト3周で知識に定着してくると聞いていたので、一周しか出来ていないことに不安を覚えていました。
2週目後半(勉強時間:760分)
IPAのページにある模擬試験のCBT問題をダウンロードして、実際の環境に近い状況で過去問を解きました。本番の試験時間:120分間のうち40分程度で全て解答するようにし、精度よりもまずはスピード感を鍛えました。スピード感があれば本番で残り時間が少なくなっても、解答自体は全部できる、という裏付けができるので、自信に繋げることができました。スピード感を鍛えつつ、合格基準の総合6割、分野別3割を超えられるように回数を重ねました。(※採点基準は本番と異なるので、あくまで自分が納得する合格ラインとして設定をしました。)
模擬試験回数は1日1~3回分。勉強期間全体で5~6回分やったと思います。
模擬試験中は問題を解きつつ傍らにメモ帖を置いて、分からない単語や用語が出てきた問題はひたすらメモしていました。分からない単語は模擬試験後に調べなおして知識の定着を図りました。また、各分野の解答率を計算し、凹んでいる分野があったらそこの問題を重点的に復習しました。
結果としては全体6割近辺の成績となり、不安はあるものの五分五分の戦いはできると思い、本番を迎えることにしました。
私のITパスポート勉強法③ -試験本番と結果
たとえ合格ラインギリギリでも受かればOKの精神で受験しました。本番では一度通しで解答した時点でわからなくて飛ばした未回答の問題が30問近くあり不安になりました。また解答済の問題でも1~2割は自信の無い問題もあったので、これは落ちたと思っていました。
ただ持ち時間120分すべてを使用し、単語の意味とか目的を考えれば解ける問題もあるのではと思い、
あきらめずに考え解き続けました。(※実際に効果はあったと思います)
結果は総合630点(ストラテジ:625点・マネジメント:455点・テクノロジ:635点)獲得で合格しました。
私のITパスポート勉強法④ -振り返り
勉強期間は約2週間。期間中の累計勉強時間は「2150分≒約36時間」でした。実際に受験してみて下記の点を感じました。
・最近のIT業界の傾向を理解する必要がある。(例:IoTや機械学習など)
・最新シラバス(≒試験範囲)に沿った学習、解答が超重要。擬似言語に対しての問題もあり、旧シラバスでフォローしていない単元、問題も普通に出題される。しっかり学べは得点源になるので、最新のテキストで学習する。
・最初中古本で学べばいいやと思い、シラバス5.Xのテキストを買ったが、その後問題集のシラバス6.Xの内容をみて、テキストでフォローされていない項目もあった(と思う)ので最新シラバスの内容を覚えることが大切と悟った。なので、新品で最新シラバス対応の参考書・問題集を買うことが大事。
※ITに関する基本知識など学習項目は旧シラバステキストでも学べるので、下地固めという意味では中古本も使えないことも無い。私は失業中でお金に余裕がなかったので500円でも1000円でも安く買えればと思い中古本を購入したが、学ぶべき範囲と覚えた範囲がずれる可能性もあるので、おススメはしない。
・英語の略語3文字ないしは4文字の単語がとにかく多い。ただ英語の意味を考えれば、ある程度解答の参考になることもある。
私のITパスポート勉強法⑤ -テクニック面
実際にITパスポートを受験してみて、こうしたら点数を取れるのではと感じたことを記載します。
・アルゴリズム(流れ図など)と擬似言語についてはよくわからなければ捨て問題で良いと思います。プログラミングを学べは理解しやすいのですが、ITパスポートの試験で初めてITの勉強をする方には正直何いっているか分からないと思います。他の分野の問題をしっかり覚えて確実に得点していく方が合格に近づくと思います。
・出題範囲をまんべんなく勉強し、知識を定着させましょう。ITパスポートは「ストラテジ系」「マネジメント系」「テクノロジ系」の3分野からそれぞれ出題をされ、全体で「6割以上の得点かつ各分野で3割以上の得点」が合格に必要です。この基準を満たさなければ、たとえある分野が満点でも苦手な分野で得点2割の場合は不合格になります。得意な分野を7~8割まで伸ばしつつ、苦手な分野は最低3割を超える気持ちで取り組むといいのかなと思います。
・英語の略語がとにかく多いです。この場合は何の頭文字をとって略語にしたのか考えてみるといいと思います。例えばIoTであれば「Internet of Things」の略語ですが、直訳すると「インターネットのモノ」となります。この意味に当てはまるような選択肢を選ぶといった方法です。
あと、略語の元の英語がどうしてもわからないときですが、略語に「M」が入っているときは大体マネージメント(Management)であることが多い気がします。まったく分からない状態で解答するよりはマネージメントであることに賭けて、「管理する」の意味の含まれた選択肢を選ぶ方が意外に当たるかもしれません。
例:BCM(Business Continuity Management)・SCM(Supply Chain Management) など
・計算問題も出てきます。全部の問題を押さえるのは難しいと思いますが、テキストや問題集で頻出とされているものは出来るようになっておくと良いと思います。
最後に
本記事の内容はいかがでしたでしょうか。ITパスポートは一般企業の社員にも取得推奨のニュースがあったりしますので、IT業界を目指そうと思っている方が最初に取得するIT関連の資格として適していると思います。また資格を取得できた結果は自信と今後の継続学習にも繋がると思います。
加えてITパスポートの勉強内容は上位試験(基本情報技術者試験・応用情報技術者試験)で出題される内容の予備知識として役立ちますので、今後を見据える意味でもチャレンジしてみてください!